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私と音楽

音楽と私

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一本の電話とレクイエム  泉山 康 さん

【 泉山 康(いずみやま こう)さんのブロフィール 】
1956年 青森県十和田市に生まれる。
東北工業大学・電子通信工学科卒業。
IT企業でエンジニアとして勤務、現在に至る。
所沢市在住。

(写真上:レコード/モーツァルト/レクイエム ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
(写真下左:レコードプレーヤー/EMT930st)
(写真下右:スピーカー/ウェスターン・エレクトリック)

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♪♪ 夜の秩父で一人聴く ♪♪

あれは忘れもしない、2011年9月21日のことでした。
突然会社で仕事中に携帯電話がなりました。相手は我々レコード音楽愛好家倶楽部の主催者W氏です。
「仕事中だと分かっているはずなのに珍しいな~、急用なんだろう」と思って出てみたら奥様でした。
そして「主人が亡くなったの・・・」お互い暫く無言が続きました。

私はオーディオマニアではありますが、地元の同好の方をあまり存じあげずにもっぱら秋葉原で知り合った方々との付き合いがほとんどでした。
W氏とも最初はブログで知り合いお近くに住んでいることが分かり、行き来をはじめてその中で地元の同好の方々をご紹介いただき仲良くさせていただいておりました。
その仲間の中心人物で皆のまとめ役でもありました。
特に音楽に関してはジャンル・量とも凄まじいまでのアナログレコードコレクションでしたね。私も見習って機械よりは音楽そのものが大事な物だと肝に銘じて・・・。

その後、数日して私は娘と二人オーディオルームのある秩父へ行きました。
私は満足のいく音を出したくて女房に無理を聞いてもらい、オーディオルームは別に作った家に置いてあります。部屋の音響を考えると生活空間である自宅では到底実現できないと分かっていましたので、分不相応かも知れませんが別荘地にオーディオルームを作ったのです。
そこで娘と二人昼はのんびりと過ごし、夜になって娘が寝てから一人オーディオルームでレコードを聴いていました。
その家は山の中にあって回りは自然が一杯です。夜ともなると虫の声と木々のさざめきしか周りの音は有りません。
そして一人聴いたのは「モーツァルト/レクイエム」でした。
カラヤン指揮・BPOの物で、その時は購入して一度も聴いていなかったはずです。
元々私はレクイエムはそれ程好んで聞くほうでは有りませんでしたから。

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♪♪ 残された者の心の癒し ♪♪

さて、EMTのプレーヤーに乗った盤と真空管アンプとウェスターンのスピーカーから流れるレクイエムを聴き込んでいるうちに心はやはりW氏の思い出に・・・
多分身じろぎもしないで聴いていたと思います。
そしてふと肩を叩かれたような錯覚がしました。
ふとプレーヤーを見ると盤が終わりに差し掛かっていました、裏面にしてくれと。
もちろん錯覚だということはわかっています、でもその時は確かにとなりにいてA面が終わるよと伝えてくれたように感じたのです、W氏が!!
その時初めて涙がこぼれました。「もっと一緒に色々なレコード聴きたかったね」と囁かれているように感じて。
レクイエムとは死者の安息を神に願うミサの音楽だと言いますが、私は残った者の心を癒す音楽ではないのかと思っています。
私はキリスト教徒ではないので、これは仏教的な考えかもしれませんけど・・・・・・・・・・・。
でも、死者を思う気持ちは残った者の心の中にあるはずです。そしてその方が残った者の心の中に思い出を沢山残してくれればくれるほど癒されたいと思うのは自然の摂理だと思います。

そう言う意味で音楽の持つ力は、機械などで左右される程度のものでは無いはずです。
では「何故お前は、満足な音を出したくて車で2時間もかけて山の中に行くんだ?」と聞かれると「いい音は何物にも代えられない!」という矛盾に満ちた答えをするしかない馬鹿者でしかないのです。