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祝!  MOJO(モジョ)開店10周年 (その2)

MOJOには、音楽好きの老若男女が集い、いろんなリズムや音色が飛び交っています。それは、マスターの思惑でもあり、巧まざる演出でもあるようです。プロにもアマにも同等に接し、いつも新しいものに挑む姿勢に注目してゆきたいと思います。(文・写真=ゴマッジョ)

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■◆● プロとアマとの橋渡し役を ●◆■

ゴマ 今さらですけど、MOJOというネーミングはどこから?

工藤 MOJOというには、ブルースのスラングにあるんです。卑俗な意味もあるので、あまり大きな声では…。
 それと、ボクがすごく影響を受けたドアーズというバンドのボーカリストで詩人のジム・モリソン、彼の別名を“Mr. Mojo Risin”と言うんです。
 それから、イギリスの有名な音楽雑誌にMojoというのがあって、そこに乗ってる記事がボクの感覚に合っていて好きなんです。
 そういういろんな意味合いからネーミングしたんです。

ゴマ ではまた改めて、音楽との出会いの話を。

工藤 音楽に興味をもち出したのは、小学生の頃によく観た映画のおかげですね。映画の音楽が好きで、たとえば、「史上最大の作戦」とか、マカロニウエスタンなんかをよく観てた。とくに、小3のときに観た「風と共に去りぬ」はとても印象的で、ますます映画に夢中になった。
 クラシックもレコードが家にあったから、小学生の頃から聴いていて、テレビでやってるミーハー的なのはバカにしてました。
 衝撃的だったのは、中1のときに観た、フランシス・コッポラの戦争映画の「地獄の黙示録」。あの中で、ドアーズのジム・モリソンが作詞した「ジ・エンド」とい曲が流れるんです。そこで、バーーン!ときて、ロックに傾倒していったんです。
 クラシックでは、ワーグナーの「ニーベルングの指環」の中の「ヴァルキューレ」に、すごく衝撃を受けた。

ゴマ 壮大で刺激的なのが好きなのですね。マスターらしいと言うか。
 もっぱら聴くほうから、ご自身で音楽をやるようになったのは?
 
工藤 高校に入ってからですね。同級生がバンドをやろうと言い出して、「じゃあ、オレも洋楽好きだから、一緒にやろう」と。
 母親が琴の先生をやっていて、三味線もあったし、音楽がずっと身近にあったんです。オヤジも音楽好きでボーカルのグループに入っていて、ハリー・ベラフォンテやフランク・シナトラを歌ったりしていた。
 だから、ボクがギターを買うって言ったら、「あー、いいね」と。

ゴマ マウス・ハープもやってますね。

工藤 ハープは二十歳を過ぎてからですね。なんとなく吹いてみたら、それなりにできた。面白いものですね、ハープはいまだにあんまり練習はしないんだけど、けっこう評価してもらってる。
 ギターはほとんど毎日触っているのに、なかなか…(笑い)。

ゴマ いまも、バンドをやってる?

工藤 ええ、いくつかのバンドに入っていて、たまに演奏してます。うちでもオープニング・アクトなんかで出ています。

ゴマ いろんなライブをやってますが、企画はどのように?

工藤 基本的には向こうから来ますね。ミュージシャン同士の横のつながりがあるから、一度出てもらった人から、「あそこ、なかなかいいよ」と言ってくれて、それで話が来る。木村充揮(アツキ)さんなんかはそうだし、井上尭之(タカユキ)さんなんかもそう。
 お客さんなんかも、「ここでイベントやりたいなー」という人が来てくれる。、

ゴマ アマチュアのイベントもけっこうやってますね。

工藤 アマチュアが好きだし、どんどん利用してもらいたい。
 初めは、「ちょっとバンドやってました」という地元の人なんかが来てくれて、ワーっと適当に遊びチラカシテくれたらいいなと思ってたんですが、意外とプロの人が「やりたい」と言ってくる。
 世界でトップクラスの、グラミー賞をとったような人がぶらりと顔を出してくれたり、あんまり人が来すぎても困るからと、非公開のライブをすることもある。店を始めた頃には、まったく想像してなかったことですね。

ゴマ アマチュアとプロとの接点も考えておられるようですね。

工藤 そうそう、アマチュアにももっと参加してほしい。
 たとえば、近藤房之助さんが来るときに、「ちょっと。オープニングアクトに出てみない?」とか、声をかける。そうすると、やっぱり楽しいじゃないですか。「いやー、オレ、近藤さんと一緒にやるんだよ」と、仲間に自慢したり。
 そういう、橋渡しの役もやってゆきたい。
 だけど最近は、「MOJOはシキイが高いから。だって、有名なプロが出てるから」なんて声も聞こえる。遠慮しないでいいから、どんどん出てほしい。

ゴマ イベントのシステムはどうなっているんですか?

工藤 ウチはチャージ・バックというのはまったくとっていないんです。
 店によっては、30%、50%と、ミュージシャンと分配するところがありますが、100%出演者に渡しています。投げ銭も一切こちらはもらってません。
 プロのMCは、集客を考えて相談して決めています。60人くらい呼べそうだとすると、じゃあ40人くらいでトントンになるようにしましょうか、とか。
 ウチの取り分はお客さん次第で、飲んでいただいて、食べてもらった分だけが売り上げです。

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■◆● 「有言ちょっと実行」をモットーに ●◆■

ゴマ イベントのジャンルはかなり多彩ですね。偏っているようで、偏っていないという、なんか微妙な…。マスターの好みがあるんでしょうけど。 
 
工藤 好みですね。音楽…、芸術というのはそうなんですけど、カテゴリーで語ったらダメなんですよ。面白くなくなっちゃう。
「これはジャズだから…」とか、「これは○○じゃないから…」とか、型にはめてしまうとつまらない。何かはみ出るもの、他人がやらないものをやるというのに、醍醐味があるんじゃないですか。個性がないとつまらない。

ゴマ 真似はしたくないですね。メッセージですからね。

工藤 オーセンティック・正統派というのは大事だし、大好きです。
 それはそれでいいとして、やはり斬新なものが好きなんですよ。
 若いときから音楽が好きで、音楽の流れを見てきたんだけど、流行りすたりがあるんですね。たとえば、60年代のジャズだったり、70年代のフォーク、80年代のパンク、レゲエだったりとか。
 そんな流れを見てると、ジャンルでその店のスタイルを作ってしまうと、流行りすたりに煽られちゃうんですよね。それよりも、時代の流れ、お客さんのニーズを探って、いつも新しいものに取り組みたいですね。

ゴマ 改めて、10年を振り返ってどうですか?

工藤 いやー、この10年をもう一回やれと言われたら、ボクは嫌です。
 ボクはポジティブに捉えたいほうなんで、失敗はしていないつもりだけど、成功もしていないかなと思っています。
 全力でやってるんだけど、「オレ、10年間、何やってきたのかな、何もしてないな」と感じることもある。ただナベを振ってきただけかと。飲食店だからそれでいいんだし、それを続けることが大事だとも思うけど。
 この間もお客さんに言ったんだけど、「結局、何もしなくても10年経っちゃうね」って。それは、ある意味、唯一の反省点。

ゴマ じょあ、これからだ。

工藤 まだまだ、これから。いつも、次のことを考えてゆきたい。思考停止したら、終わりですよね。
 何か、常に物足りなさを感じて生きてる人間なんでね。欲張りなのかな。

ゴマ 満足したら終わりじゃないですか。
 話がちょっと飛びますが、私がよく話題にする本がある。谷川徹三、詩人の俊太郎のお父さんの哲学者ですが、「九十にして惑う」という素敵な対談集がある。「人間は死ぬまで惑うんだ。それが人間だよ」と言っています。
 
工藤 いいですね。人間、悟るなんてのは無理。
 浅はかなのが人間。そこから、逃げようとしないことですよね。
 
ゴマ これからの3年、5年後のイメージはありますか?

工藤 いや、浮かばないですね。10年前も今のことを想像できなかったし。
 長いスパンでは、セミ・リタイヤして「あーしたい、こーしたい」というのはあるけれど。
 ボクは昔から、「不言実行」って嫌いなんですよ。何もしない奴の言い訳ですよね。実行しなくても責任がない。まず、口に出すことが大事ですよね。人間にとって、責任をもつとか、プレッシャーをかけるというのはとても重要だと思っています。
 それで、「有言ちょっと実行」って言ってます。ボクの造語です(笑い)。
 たとえば、外国の有名なミュージシャンを呼びたいなー、なんて言ってると、そのファンクラブの人がいて、「じゃあ、今度、日本に来るから、シークレットでやらないか」なんて話になったりする。
 ハッタリというと、世間ではネガティブなイメージがあるけど、ちょっとデカイことを言っておくと、10%が可能になったりする。その10%がとんでもなく大きなことだったりして、驚くこともある。
 だから、「有言ちょっと実行」をしていこうと思っている。

ゴマ じゃあ、100発くらいデカイことを言って、10発実現してください。
 では、最後にもう一度、アマチュアへのエールなどを。

工藤 ボク自身がアマチュアだし、アマチャア・ミュージシャンが大好き。
 何が好きかと言うと、初期衝動なんです。バンドを始めた頃、技術は無いんだけど、気持ちはだれよりも熱い。その瞬間のステージを見るのが好きで、うっとりしてしまう。
 夢中になれるというのは、とても素敵なことで、だから、「ガンバレー!」と応援したくなる。

ゴマ 私は、今の若い人たちはとても頼もしいと思っていますよ。

工藤 若い人はもちろんですけど、店を始めるにあたっては、同じ世代だけを相手にしていては面白くないと思っていた。
 年配の人たちには、「今の若者たちも、あなたの育ったときと同じパッションを発揮しているわけだから、それに共感して、一緒に楽しんでほしいと」言いたいですね。
 音楽はアンサンブルなんだから、いろんなものが混ざり合って共鳴して響き合って欲しいと思っているんです。

ゴマ なるほど。MOJOさんには、これからもどんどん輪を広げていってもらって、所沢の音楽シーンを大いに盛り上げてもらいたいですね。
 本日は、ありがとうございました。
 (2014.07.15取材)
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