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明人会(あきひとかい)──津軽三味線・民謡 (その1)

明人会は、会主の紅明人(くれないあきひと)さんが指導している津軽三味線・民謡教室の生徒さんの有志が参加している団体。間近に迫った合同イベント「春の宴」、さらには秋の15周年記念発表会に向けてのリハーサルに熱が入っているところ。その合同稽古をしている椿峰コミュニティ会館・別館でお話をうかがいました。(文・写真=ゴマッジョ)

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●◆■ 発表会のための貴重な合同稽古 ■◆●

ゴマッジョ(以下、ゴマ) 明人会は1999(平成11)年の設立とのことですが、会主の明人さんの三味線との縁はずいぶん前からだそうですね。

明人 三味線は制作の修行から入ったんです。それが1972(昭和47)年ですからもう40年以上になりますね。いろんな三味線がありますが、津軽三味線の音色にひかれて、「あー、これだなー」と。最初は自己流で弾いてたんですよ。
 1975(昭和50)年に所沢で三味線の楽器店「紅屋」を出しました。自己流だった演奏も津軽三味線澤田流に入門して本格的に取り組みました。
 演奏活動とともに指導も始め、1999(平成11)年に津軽三味線明人会を立ち上げて、2002(平成14)年には澤田流から独立して紅明人を名乗るようになりました。2004(平成16)年に5周年を期に第1回の明人会発表会を開きました。

ゴマ 今年の秋に15周年記念発表会を実施されるそうですが、数多くの生徒さんを指導されてきたんですね。教室ではどのような稽古を?

明人 今、教室の生徒は40人くらいです。紅屋での指導と、椿峰コミュニティ会館・本館や狭山ヶ丘への出張稽古をしています。
 教室では、津軽三味線の唄付け、曲弾き、そして主として津軽民謡の指導をしています。個人の向き不向きがありますし、何をやりたいか、生徒さんとよく相談しながらレッスンしています。

ゴマ 明人会は生徒さんたちの交流の場ですね。

明人 そうです。生徒さんたちで構成する会で、入会は任意です。今の会員は約30人で、中学生から古希を超えた方まで年齢層は広く、職業も自営業、サラリーマン、主婦などと実に多彩です。
 教室では曜日が違ったり、一対一の稽古なので顔を合わす機会がありませんので、原則的に2か月に1度集まって合同稽古をしています。少人数の合わせ稽古や、大勢での合奏や、民謡の伴奏などをやります。

ゴマ 人の前で弾くのはいい経験になりますね。

明人 ええ、それが大きいですね。個人でやる場合もあるし、合わせ稽古もある。こういうホールでやって、順番待ちの人たちが熱心に聴いている。三味線をよく知っている人の前でやるのは緊張すると思いますが、場数を踏んで発表会のためのいい経験になる。
 それと、他の人のを聴いて、自分のレベルもわかるようになるし、参考や目標にもなって励みになりますね。

ゴマ 4月には「春の宴」がありますね。衣装にも工夫が?

明人 基本的には民謡は和服なんですが、ウチは「春の宴」には和洋を取り入れた黒の上下のものを揃えています。秋の「おさらい会」では、1部と2部でその黒の上下と着物とを使い分けています。

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●◆■ 音色の三要素と「じょっぱり」精神 ■◆●

ゴマ 話は元に戻りますが、津軽三味線の音色に魅せられて、ご自分でも始められたとのことですね。

明人 そうです。音色にひかれましたし、歴史にも興味をもちましたね。
 長唄とか一般には古典ものが主な曲目で、ゆったりした弾き方をする。それとはまったく違うテンポとスピード感があって、そこが面白い。
 また、構造的にも、棹が太く、胴も大きくて、撥も違う。津軽三味線は独立した楽器として扱われています。
 
ゴマ 奏法も違うわけですね?

明人 えー、一般の細棹では、胴の上のほうをはじきますが、津軽三味線では主に胴の真ん中を敲(たた)くんです。すそうすると、皮が振動して大きい音を出て、迫力がある。そして、真ん中の大きい音と上の方の小さい音を使いわ分けるんです。
 迫力のある音と繊細な音、それを織り交ぜて演奏することで深みが出て、ストーリー性が出てくるわけです。

ゴマ そこが津軽三味線の大きな魅力?

明人 そうですね。津軽三味線の音色の三要素というのがあるんですよ。津軽の方言なんですが、「どってん」「じゃわめぐ」「ねずみ」と言います。
「どってん」とは、驚くという意味です。ダダーンと敲いて驚かせる。
「じゃわめぐ」とは、心がざわめくこと。リズミカルなテンポで心を浮き立たせる。
「ねずみ」は、澄んだ音色、心が洗われる意味です。動物の「鼠」ではなくて(笑い)、「音(ね)が澄む」ということです。
 それらを使い分けることで、ドラマ性のある感動を与える演奏ができます。

ゴマ 津軽三味線はもともと津軽民謡の伴奏楽器ですよね。津軽民謡は津軽三味線でしか唄わないんですよね。

明人 ええ、ところで最近、若い人の間では、「曲弾き」といって伴奏じゃなくて、三味線だけのソロで弾くのが流行っているんです。
 民謡の一部の、唄じゃなくて前奏のちょっとかっこいいところを、自分なりにアレンジして、アドリブ的にやるのが面白い。

ゴマ 自由度が高いんですね。なんとなくジャズっぽい。

明人 いいこと言われますね(笑い)。ジャズ的でもあるし、ロック的でもある。弦楽器ですが、打楽器的な要素ももっている。
 津軽三味線は一人で演奏するときは、人と同じじゃつまらない。「じょっぱり」なんですよ。人のやらないことをやる。

ゴマ 「じょっぱり」は、「意地っ張り、頑固者」の津軽方言ですね。「自分はこうなんだよ」という気概を示す。

明人 そうです。もちろん、古典的なものにはその良さがありますが、若い人には新しいものにも挑戦してほしいですね。
 今風のリズムやスタイルを取り入れて、自分のものを作りあげていく。今の津軽三味線界には、いろんな可能性が広がっています。

ゴマ 明人会の今後の目標をお聞きしたいのですが。

明人 まだまだ、津軽三味線の生の演奏を聴いたことのない人がいっぱいいると思います。まず、少しでも多くの人に聴いていただいて、魅力を知っていただきたい。その機会をどんどん増やしていければと思っています。
 太鼓との合同の「春の宴」と、秋の「15周年記念発表会」が大きなイベントですが、従来からやっている福祉施設などでのボランティア演奏もさらに拡充し、地域社会の盛り上げの一助になればと考えています。
 そのためにも、唄い手も増やして、会員の層を厚くし、技量もレベルアップして、いろんな曲をこなせるようにしたいですね。

ゴマ 私どもptokoのコンセプトや所沢市が推進している「音楽のあるまちづくり」にも合致しますね。
 では、後半は明人会の会長さんと、総務担当の方のお話をお聞きしたと思います。(2014.3.9取材)